端午の節句の食べ物として思いつくのは柏餅ではないですか?
でも、童謡の「せいくらべ」の歌詞に出てくるのは「ちまき」ですね。
柱のきずは おととしの
五月五日の 背くらべ
粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
「ちまき」を食べる地域と「柏餅」を食べる地域があるようです。
関西ではちまきが多く、関東では柏餅が多いのはなぜか?
ちまきと柏餅の違い!
ちまきは、もち米・うるち米・米粉などで作った餅を、笹・真菰(マコモ)・茅(チガヤ)などの葉で巻いて長円錐形または三角形に形作り、
イグサで縛ったものです。
日本ではチガヤの葉で餅を巻いたところから「ちまき」と呼ばれているようです。
端午の節句、関東を境に東では柏餅が主流ですが、西ではちまきが主流となっていた時代があります。
理由は、柏の葉が手に入らなかったことに要因があるようです。
現代では柏の葉っぱは韓国や中国から輸入されており、全国的に柏餅が端午の節句に用いられていますが、ちまきを用いる地域も存在しているようです。
柏餅と言うと上新粉を蒸して小判上に伸ばし餡を挟んで二つ折りにし柏の葉で包んだものですよね。
ちまきと柏餅は全く別物と思いきや、イヤイヤあるんです。
上新粉に餡を入れ笹の葉で包み両端を縛って俵状にしたちまきがあるんです。
材料は柏餅と葉っぱを除いて同じなんです。
実はこの「ちまき」の正式名称は「笹団子」と呼ばれているようです。
ちまきと笹団子違い
ちまきと笹団子の違いは、形状と中に包んである餅、そして食べ方が違います。
ちまきは、もち米を使い形状は円錐形または三角で笹の葉に包んでいます。
食べ方は、笹の葉を取りきな粉や餡をつけて食べます。
関東から西では円錐形の物が多く、東では三角ちまきが主流となっています。
現代では、柏の葉が輸入さらているので、端午の節句は柏餅が全国的に主流になっているようです。
また、端午の節句とは関係なく具材を入れた中華ちまきと言うものもあります。
一方、笹団子は、上新粉に蓬を入れているので草餅になっており、粒あんを包んで笹の葉に俵状に包み蒸してあります。
食べ方は、バナナのように笹の葉を剥いて食べます。
こどもの日と言うと関東では、柏餅ですが新潟では笹団子が主流のようですね。
笹団子のルーツ
笹は殺菌効果があることで知られています。
北越風土記によれば戦国時代の携行保存食として生まれたとされています。
一説には、上杉謙信の家臣が発明したという俗説もある位ですね。
柏餅も武家社会が生み出し、笹団子もやはり武家に関係があるようで、端午の節句の供物とされているところも共通です。
ただ、蓬餅に餡を包む笹団子は、砂糖が一般的に流通された明治時代中期以降と言う事です。
それまでは、おにぎりのように梅やおかかなどを入れて笹の葉で包んだ郷土食だったようです。
笹団子が全国的に知られるようになったのは、昭和39年の新潟国体からで、現代では新潟県内の主要な駅や道の駅・サービスエリア等で販売されています。
新潟土産の代表的なお菓子ですね。
ちまきは、中国由来ですが、「笹団子」は、新潟県が発祥の地と言う事ですね。
笹団子の特徴は、ヨモギの餅に餡を包み俵状に成型したものを笹の葉で包んだ和菓子です。
笹の葉で包んであることから、ちまきと笹団子がごっちゃになったんではないでしょうか?
新潟では、端午の節句の供物は勿論ですが、今では新潟土産として全国に知られる和菓子になっています。
笹団子がちまきとごっちゃになった
茨城県常陸太田市の土産菓子に「ちまき」があります。
形状が同じなので、笹団子がちまきと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私自身、ごっちゃになっていました。
明確な違いは蓬餅で餡を包んだものが「笹団子」。
蓬を入れない白い餅で餡を包んだものが「ちまき」。
形状は全く一緒です。
元々このちまきは笹団子が元になっていると言う説があります。
関東ではこの笹団子がちまきとして認識されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちまきが5月5日に食べらるようになったのか?
中国の故事に由来するんですね。
今からおよそ2300年前さかのぼりますが、の中国に、屈原(くつげん)という政治家でもある詩人の話です。
政治家として、国王の側近も務めていた屈原は、正義感と愛国心から人々に大変慕われていたようです。
しかし、陰謀によって失脚し、国を追われてしまう事になります。
屈原は失望し、汨羅(べきら)という川に身を投げてしまいます。
その日が5月5日です。
人々は、命日の5月5日には供物を投げて供養するのですが、供物は屈原のもとに届く前に悪い龍に盗まれてしまいます。
そこで供物のもち米を、龍が苦手だという楝樹(れんじゅ)の葉で包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ投げたところ、
無事に屈原のもとへ届くようになったということです。
これが、「ちまき」の始まりと言われています。
5月5日にちまきを作って災いを除ける風習は、中国から日本に伝来したものなんですね。
また、ちまきに結んだ赤・青・黄・白・黒の五色の糸は、子供が無事に育つようにとの魔よけの意味を込め、鯉のぼりの吹流しの色にもなっているそうです。
柏餅は武家社会が発祥
柏餅は江戸時代に江戸でうまれた日本独特のものです。
ちまきよりもずっと新しいものなのですね。
柏餅を包んでいるのはもちろん柏の葉。
柏は昔から神聖な木とされており、新芽が出ないと古い葉が落ちないので「子供が生まれるまでは親が死なない」、
すなわち「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄(家系が途切れない)」に結びつき、端午の節供の縁起の良い食べ物とされました。
ただ、柏の葉は日本中には分布されていなかったため、東は柏餅で西はちまきと言う流れになったようです。

まとめ
端午の節句の供物として「ちまき」「柏餅」「笹団子」が地方によって食べられています。
縁起物としての伝統和菓子。
季節を感じ美味しく召し上がってください。